2007 Taiwan

30 December - 5 January

 



 
 
 
明けましておめでとうございます。
2007年は台湾でお正月を迎えました。
仕事では何度も訪れたことがあるけれど、「珊瑚ごと買う」という大きな金額のビジネスのためなかなかゆっくり街を見ることは出来ない。デザインと素材の買い付けに集中したいのでお食事もホテルのルームサービスで、取引先ーホテルー空港、の繰り返し。
念願叶って今回はヴァカンスONLYの台湾。ビジネスパートナーのF氏をはじめ世界中移動している友人達も偶然に台湾に。
アジアの喧騒と歴史ある街並みのコントラスト、暖かで美味しい?新年となりました!

 

台北

Taipei



 
 
成田から2時間半ほどとんで、暖かな台湾へ。
パリのクリスマス以来、東京でも働きっぱなしだった今年、ようやくほっとする。
ハーバードのサマースクールでわたしのスタディー・チューターだったタイワニーズ・アメリカンのC氏、台湾の特別講義で台北にいらっしゃるとのこと、早速ディンタイフォンへランチに。店先は相変わらずの大混雑。
今回の旅の行程を綿密に相談する主人とC氏。私はお約束の小籠包をほおばる・・・!

 

 



 
 
喧騒のディンタイフォンを後に、C教授と彼のお気に入りのお茶屋さん=茶芸館へ
台湾のお茶文化は本当に奥が深く、今日は最もカジュアルな頂き方で。
美しい茶器が並び、さっきまでの喧騒がウソのよう・・・。

 

 



 
 
世界4大博物館の一つ、東洋のルーブルと言われる故宮博物館へ。
歴代中国皇帝のコレクションを収蔵する中国文化の殿堂。
2006年6月にようやく大改修をほぼ終えたばかりで大変な来場者。
故宮とはかつての宮殿の意味、宮殿のなかった台湾になぜ故宮博物館があるのか?
中国最後の王朝、清が倒された時、歴代王朝から引き継いだ膨大な財宝は中華民国政府が引き継ぎ、政府は正統な後継者であることを示すために1925年、北京の故宮と財宝を一般公開した。コレが故宮博物館の始まり。
その後、日本軍の中国侵略が激化し、財宝は北京から上海、そして南京、日本軍との全面戦争の勃発を受けて南京から更に奥地へ。1945年、日本の敗戦により財宝は南京に戻るが、国共内戦に国民党政府は敗北、中国大陸を脱出し台湾へ逃げた。そのとき軍輸送艦などで南京から台湾に運び込まれた財宝が1965年、故宮博物館として再公開されたのだそう。
なるほど・・・。それにしてもこのスケール!

 

北捕

Beipu



 
 
台北駅から汽車で1時間と少し、その後タクシーをチャーターして北捕(ベイプー)へ。
客家人と呼ばれる、中国本土の福建省南部から最初に台湾に渡ってきた人々の伝統文化の色 濃く残る街。その後、広東省からの人々も渡ってきて風水に従って街を形成したそうで、曲がりくねった細い路地やレンガ造りの伝統家屋など、北捕に移り住ん できた客家人の歴史を感じつつ街を歩く。

 

 

beipu1

beipu2
 
 
ここ北捕は東方美人茶の産地。
19世紀の英国商人がこのお茶を女王に献上したところ、白、緑、黄、赤茶の愛らしい色彩 の茶葉が、琥珀色の茶水の中で漂う姿がまるで「東方の美女が舞う」ようだと絶賛したことから「東方美人=オリエンタル・ビューティー」と名つけられたと言 う。参道に並ぶお茶屋さん、お茶請けのお菓子も美しい・・・。

 

 



 
 
北捕では「擂茶」というすり鉢に何種類もの穀類や豆類を入れて擂り、お湯を入れて飲む客家人独特の飲み方が残っている。築100年近い日本家屋を改造した茶芸館でのんびりくつろぎ、台湾のお茶文化の奥の深さを実感する。

 

台北

Taipei



 
 
大勢でワイワイ頂くのがとっても苦手な上、「屋台」的なところもあまり得意ではない、という最もアジア向きでない私。でも、台湾は小皿でいただけるので主人と2人でもいろいろ頂けて嬉しい!迫力の店頭!で「コレが食べたい!」と指差確認。その種類の多さと素材の新鮮さはめを見張るばかり。

 

台南

Tainan



 
 
台北駅を早朝に出発、汽車で3時間半、台湾の古都、台南へ。
北回帰線を越えて南下するといよいよ亜熱帯圏、1年中温暖と言うだけあって、初夏のような温かさ。古都の面影を残す街並みにすっかり和む。
台南最古の史跡、赤カン楼(チーカンロウ)へ。
1653年に台湾南部を占領したオランダ軍による建物で紅毛城とも呼ばれた。地震、日本統治下での取り壊しー再建と波乱の歴史を生き抜いてきた建物。亜熱帯らしい椰子の木の生い茂る緑に鮮やかな赤い楼閣が美しい。

 

 



 
 
 
椰子の木の中をのんびり歩くと汗ばむほどのお天気。
とにかく海鮮類の豊富な台南、小エビたっぷりのエビゴハンと鴨の卵のスープで軽くランチ。1度に沢山いただけない私には、この台湾スタイルはとってもいい・・・。

 

 



 
 
古廟、祀典式廟を抜け、大天后宮(スジーディエンウーミャオ)へ。
明朝王族の末裔、寧靖王朱術桂の府邸であったところ。熱心な信者が絶えず、お線香の煙でももうもうとした中を歩く。

 

 


 
 
 
台湾はお食事もお茶も美容にいいものばかりで、暖かい気候もあってすっかりリラックス。
静かなお線香の香りのする廟と廟の間をのんびり歩いていたら・・・。大きな冬瓜にびっくり!味は本当に「瓜ジュース」。なんだか体によさそう。

 

 



 
 
 
1665年に建設された台湾最古の孔子廟へ。
台湾における儒学の発祥の地であったこの地、鮮やかな赤い建物が生い茂る緑の中静かに続く。本当に静か・・・。

 

 



 
 
台湾で唯一城内の防衛と、敵を捕まえるという2つの機能を持つ甕城であった大南門。
1721年、朱一貴の乱を治めたことをきかっけに築かれた。今は静かな公園のよう・・・。

 

 



 
 
台湾料理の原点とも言われる台南。
名物、「担仔麺」は昔、漁の暇なときに作っていた麺が100年の歴史(?)を経て今も大人気。お店の名前「度小月」は繁忙でない時期のことだそう。干したお肉にエビのスープ、という意外な組み合わせが複雑な味を出していて本当に美味しい!小ぶりなお椀なので麺の種類を代えていくつか頂くのもいい。カラスミもココ台南の名物。軽く焙って香ばしいスライスをシャキシャキの大根にはさんでいただく。

 

 



 
 
再び早朝の汽車で台中へ。夜明けを待って駅に着く。
日本統治下の建物が美しい。

 

鹿港

Lugan



 


 


 


 


 
 
台中の駅には私のビジネスパートナーのF氏と台北からC教授ががお迎えに来てくださる。
長い間会っていなかったので積もる話をしつつ、再会を喜ぶ!主人は初めてお会いするので、皆少し緊張気味?
そのまま車で鹿港(ルーガン)へ。
 
かつて台湾の重要な港街であった鹿港、清代には貿易で栄え、「一府(台南)、二鹿(鹿港)、三 艋舺(台北の万華)」と言われた。歴史的、文化的に価値の高い廟や家並が保存されていてまるで映画のよう。
 
九曲巷は鹿港で最も有名な路地。タイムスリップしたかのような情緒溢れる街並み。そのまま市場を抜けて古市街を歩く。赤レンガの舗道や旧式の街並みは映画の撮影に使われることも多いとか。10年来の友人とそんな街をあるく不思議を思う。

 

 



 
 
私が屋台で食べられるモノは、火の通ったパサパサしたものだけ、ということを良く知っているF氏。タロイモのはいったパイのようなお菓子を買ってくださる。さくさくしていて香ばしくてとっても美味しい・・・そして美しい。

 

 



 
 
 
とにかく海の幸の豊富な台湾。小さな粒の蛎がとても美味しい。今日はC教授とF氏のおかげで、地元らしいものを頂く。
蛎のたっぷり入った細い麺のスープ、大根餅を揚げたもの、蛎とニラのさくさくした揚げ物、定番の蛎のオムレツ、とどれも本当に美味しい!

 

彰化

Janhoa



 
 
 
鹿港から台中へ来るまで戻る途中、台湾の素朴な一面を残す街、彰化(ジャンフォア)に寄る。
清代の政治経済の中心、台南と、重要な貿易港、基隆の真ん中という立地のため栄えた。食の宝庫と呼ばれ、小吃の文化が盛んな街。小さな路地に小吃の店が立ち並ぶ・・・。でも私には、孔子廟。相変わらず静かで休まる。

 

 



 
 
 
八掛山からは彰化の街を一望できる。アジアの第一大仏といわれるこの大仏、22mの高さを誇る・・・とはいえ日本人の私には何だかキッチュに見える?

 

台中

Taichung



 
 
台中は台湾第3の都市、町は近代化され、プリペイド式でワイヤレスネットワークを使ってどこでもインターネットがアクセスできる!
台中に来たのはF氏が長年の夢だったレストランをOPENしたのでそのお祝いのため。
見るものは新しく再建された孔子廟くらい・・・。 台湾にしては珍しく宋式の様式で装飾の美しさや、変化にとんだ構造は面白い。 主人の説明を熱心に聞くF氏。

 

 



 


 
 
台中出身のC教授は大変なお茶好き。台湾のお茶文化は台中にある、といつもおっしゃっているだけあって、素晴らしい茶芸館へ連れて行って頂く。日本統治時代の日本家屋をそのまま使っていて、そのスケールの大きさに驚く。お茶の種類はもちろん、その頂き方、お茶請けの種類、と大変な世界!池には鯉が泳いでいて、水の音を聞きながらC教授にお茶の話を聞く。

 

台北

Taipei



 
 
ようやく台北に戻ってきた私達。台湾の食べ物もようやくわかってきて(?)、先日とは違うお店で小籠包、もち米のエビしゅうまい、豆苗の炒め物とゴキゲンな昼食。
生姜と黒酢で頂く上、美味しい中国茶もたっぷり頂くので、食後もなんだか爽やか・・・。

 

 



 
 
ヴァカンスの旅でも6割の力しか出さない主義の私は、ホテルのお部屋に居る時間がとても長いので、どのホテルのどんなお部屋か?がとても重要。
仕事のときは街中の便利なホテルなので、今回は士林(台北北部)の丘の上の園山大飯店へ。
紫檀の中国式の調度品のような家具のお部屋、朱色の鮮やかなテラスと本当に素敵。
主人が市内で建築視察(?)をしている間、私はのんびりくつろぎ疲れきらない様に気をつける。

 

 



 
 
 
世界一の高さを誇る「TAIPEI101」へ。
とにかく本当に巨大。上のほうは雲に隠れて見えないこともあるそう!

 

 



 
 
台湾の食のスタイルは、少しずつ色々な物がいただけるのが魅力。
からすみの焙ったものと、からっと揚げたソフトシェルクラブ、台湾ビールとの相性も抜群。貝と岩海苔のスープ、たけのこの炒め物、どれも本当に美味しい!海の幸、山の幸、とバランスがいい上、塩味が薄いのも私向き。

 

 



 
 
台北現代美術館へ。ビエンナーレをやっていることは聞いていたけれど、この数日間、古都だの廟だのばかり見ていたので何だか新鮮。中国の現代アートはパリでも良く見るけれど・・・。でも今日は頭がなかなか切り替えられない!

 

 



 


 


 
 
C教授から、台北に戻ったら必ず行くように(?)と言われて来た茶芸館。
日本統治期の洋館を改造した趣のある雰囲気。藤棚と鯉の泳ぐ池を眺めつつ、沢山の茶壷やお茶を選ぶのも楽しい。
静かにお茶の作法を見せつつ入れて頂くお茶の美味しいこと。東方美人茶を頂いて台湾の日々を振りかえる。

 

 



 
 
夕方のフライトなので遅めのランチが台湾のラストランチ。
相変わらず同じところに行くのが好きな私はすでに「ホーム」と化した感のある小籠包やさんへ。お野菜だけの餃子とエビ餃子。餃子といっても小籠包のように下にはスープがたっぷり。アツアツをこわさないように一口で頂く!きゅうりのお酢漬けがまたさっぱりしていて美味しい。それにしても湯気で写真が・・・。デザートにはタロ芋の蒸し物。もっちりした食感が本当に美味しい!!

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
今回は仕事ナシの旅だったので台北北部の丘の上に泊る。もともとは迎賓館として台湾神社の跡地に建てられたこのホテル。皇帝を象徴する黄色いレンガ屋根、朱色の柱、極彩色の装飾、清朝式家具が配された広大なロビー、どこも本当に美しく、ロビーでお茶を頂くだけでも充分楽しめる。仕事以外の旅は1年に1度、お正月しか出来ないけれど、今年も充実した1年になりそう・・・。

 

 


 


 


 


 


 
 
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台湾は1895年の下関条約以来、第二次世界大戦終戦に至るまでの半世紀を日本の植民地とされ、その間台湾の統治機関である総督府は数々の建物をこの地に建てた。
台湾は日本に比べて空襲が少なかったこともあり、空襲を逃れて、激動の歴史を生き抜いてきた建物が全土に残っている。今も現役で使われている建物も多く、日本では既に消滅してしまった明治期の建築遺産とも言うべき建物が、こんなにも沢山一度に見られることに驚く。
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